【ネタバレ】自分用メギドメインストあらすじまとめ8章

#73

マモンはソロモン王を警戒しながら、自らの持つ計画を密かに進めようとしていた。

マモンの副官であるイヌーンはソロモン王を探してメギドラルを駆けていた。

一方、ペルペトゥムではガープ、ベレト、ベリアル、アイム、コルソンがまちづくりに奔走していた。

アジトに残ったフォカロルやアンドロマリウス、フォラスの元にはシバの女王が訪れ、情報共有をしている。

メギドラルのとある場所では、知能ある幻獣たちが軍団を形成し「ファンキー・ファット・ファランクス(F・F・P)」を名乗ってメギドを襲って回っていた。

ソロモンとブネやバラム、そして後続隊のアスモデウスは一度アジトに一時帰還し、情報と今後の方針ーーマラコーダ提供の棄戦圏の陣地は放棄し、別の集合場所を考えた上で作戦は継続する。メギトラル側で得られた同盟は現状オリエンスの軍団と罵美優蛇のみであるーーを擦り合わせた後再びメギドラルへ戻って行った。

実は、黒き門からメギドラルに入り、遭遇戦をこなしながら議会参加のために進駐するソロモン王の一行は、陽動部隊の側面も持っていた。すなわち、別働隊がいるのだ。ちなみに、ソロモン王が議会に招待された直接的なきっかけは、ガープらがマモランティスの軍団をくだしたことである。これにより空席になった議席を(ソロモンの議席とは別に)メギド72のメンバーの誰かが得られるのだ。

アスモデウス率いる別働隊は、ソロモンたちが存在感を示す影に隠れて、休戦季直前に懲罰局を探し、襲撃する。そして懲罰局の保有するアンチャーターを奪う予定であった。

懲罰局襲撃組のアモンは、懲罰局本部の場所を探すためにレジェ・クシオに潜入し聞き取り調査を行っていた。

なお、マラコーダの提供する棄戦圏に展開した陣地は、本来であればアスモデウス率いる別働隊に引き継ぐ予定だった。しかし牙の内海戦で目立ち中央の使者の接触を受けたことで、陣地の場所が知られてしまった。

とはいえ、大筋としてはメギドラル遠征は順調である。

そしてソロモン王は、メギドラルの陣地にてマグナ・レギオからの接触を受け、F・F・P討伐を命じられた。それはメギド72が議会に所属する軍団として認められたという証左である。

捜索の末に、一行はF・F・Pの構成員幻獣や、その一帯で寝起きしていたまつろわぬメギドと接触した。

その頃、インキュバスは一人メギドラルを彷徨っていた。牙の内海戦争でソロモン隊とはぐれたため、後続隊(懲罰局襲撃隊)との合流を目指してのことである。ーー内心、女性メギドの多い後続隊の方が楽しみも多かろうという魂胆であった。

迷子になった彼を助けたのは、マモンの副官であるイヌーンであった。彼からマモンの名を聞いたインキュバスは、八魔星の一人である彼女に顔を売ることを画策する。

インキュバスと別れたあと、再び荒野を駆けたイヌーンは、棄戦圏の陣地を守るボティスやベリトらに出会い、そこでソロモンの臭いを得る。

 

#74

まつろわぬ者のリコレッキを案内人として、集団発生の洞窟を進み危険な「成り損ない」を探す一行。

「幻獣として生まれるはずだったものを、メギドが奪った、母なる白き妖蛆から……」偶然にもメギド発生の瞬間を目にしたソロモンは、奇妙な言葉を発する。それは牙の内海深部潜行時、意識を失っていた時に母なる白き妖蛆によって見せられた光景に由来するものであった。

フォトンを消費する者はメギドも幻獣も増えすぎてはならない、それが故の戦争社会だとブネは教えた……

幻獣は転生できないとソロモンは言った……

夢見の者の力は母なる白き妖蛆の力に由来している……

メギドとは、魂という形を取った精神生命体なのだ。他の生命を「乗っ取る」ことができる。だからメギドは母なる白き妖蛆の生んだ幻獣の生命を乗っ取ることができるし、追放されてからはヴィータの生命を乗っ取ることができる。

「母なる白き妖蛆」とは、メギドラルから無限にフォトンを奪い続け、自らの範囲を拡張しようとする精神存在である。「彼の世界」別名「カトルス」とは、「蛆」の干渉に悲鳴を上げたメギドラルという世界そのものが生んだ、いわば世界の意志である。そしてメギドとは、「彼の世界」という集合的無意識の中で個を持ち、主観を持ち、彼我の境を認識したことで零れ落ちた一部が、幻獣になるはずだった生命を乗っ取って物質世界に生まれた存在である。だからこそ、メギドは本能的に、「蛆」の仔である幻獣を憎む。

「蛆」がいる限りメギトラルは疲弊し続け、ハルマゲドンの危機は去らない。しかし「蛆」の干渉を断てばメギドがこの世界に生まれなくなる。ソロモンは苦悩した。メギドは幻獣とは「違う」。でも同じに思ってしまったから、どちらも救いたい。けれどそれは不可能なのだ……。

そしてソロモンは、メギドがメギド自身によりメギドの社会を安定維持できるようにすることを、己の使命として認識する。

そして一行は成り損ないの討伐を完了し、陣地に帰投した。ソロモンが無意識の干渉より持ち帰った情報は、ベルフェゴールやマルファスがペルペトゥムやアジトに伝えることとなった。

アスモデウスは既に未知のルートからメギドラルに入ったらしい。

 

#75

ソロモン、ブネ、モラクス、ロノウェ、アロケル、マルコシアス、バルバトス、アン ドラス、レラジェ、バラム、ヒュトギンは改めて仕切り直し、F・F・Pの討伐に出発した。ソロモンは交渉を試みるも話の通じる相手ではなく、戦闘へともつれこみ無事勝利する。

戦闘中、仲間の間で不穏な動きがあった。アロケルがロノウェに剣を向けたのだ。アロケルは転生前、とあるメギドにロノウェの暗殺を依頼されていたのだ。争いは長引きはせず、両者に得なしとして二人は休戦を合意する。

少し前、集団派生の洞窟で協力を得た「まつろわぬ者」のリコレッキは、自分たちのコミューンの限界を悟ってメギド72への参加を目指し一人歩いていた。しかしF・F・Pの一体に見つかり、あえなく殺されてしまう。「彼の世界」に融ける前、彼女が最後に思ったのは、短い間ながら友情のようなものを得たモラクスのことだった。

アジトでは領地にいたグレモリーの訪問を受け、話し合いが行われていた。また、自宅に滞在していたオロバスも姿を現す。(メンバー:グレモリー、フォラス、アンドロマリウス、フォカロル、グラシャラボラス、フルーレティ、ゼパル、オロバス)グレモリーは、ヴィータたちの間で不穏な雰囲気を感じるという。街がいくつも滅びたというのだ。原因は様々で、ひとつひとつは悲惨ではあるが繋がりを見出だせそうなものではない。しかし立て続けである。更に、それが起きた村や街は皆、他の村や街から孤立していた。

オロバスは「カトルス教団」の名を口にした。その教団が、自宅である山小屋の近くの村に住み着いたというのだ。そして、ヴァイガルドでその名が出現するのは奇妙だと話す。なぜならば、「カトルス」とはメギドラルの「彼の世界」を人格化した名前であるというのだ。「彼の世界」の別名を初めて知った一同は驚愕し、ソロモンを呼び戻すことに決める。

その頃、フォルネウスは「カトルス教」として、とある村を滅ぼしていた。

村から逃れた男はフォルネウスの悪行を告発する村長の手記を旅人に託し、それは更にソロモン捜索中のイヌーンの手に渡る。

F・F・Pとの戦いーー巻き込まれたわけではない、自分から始めた戦争の中で、ソロモンはかつてのグロル村での親友を思い出していた。敵を殺し命を奪うことを当然に行う存在になることは、彼らやかつての自分に決裂することである。それでも自分は「前に進む」と覚悟を決めたのだった。

ヴァイガルドでのカトルス教団の不穏な動きがソロモンに伝えられ、一行はヴァイガルド帰還を決める。

 

#76

その頃、イヌーンとフォルネウス、カトルス教団から逃げる男(鎮魂騎士団の間者)は森の中で邂逅していた。イヌーンは、フォルネウスはマモンに選ばれ追放された者であろうと意味深な問を投げる。フォルネウスは明言を避け、代わりに、「エクソダスの災厄からヴィータたちを逃し、彼らを『真の幸福』に導いて世界を救うことが自分の目的だ」と語り、イヌーンとの交戦を敬遠してその場を後にした。そして手記を通して己の行動がソロモンに伝わることを予測し、身を隠して暮らすことに決める。

一方グレモリーの領地にあるとある村、そこに建設された教会の中で、「カトルス教団」宣教師が布教の演説を行っていた。教団が目指すのは、今はまだ「彼の世界」の存在しないヴァイガルドに「彼の世界」=カトルスを作り出すことであり、その為に人々に、カトルスを想い崇めることを求めていた。多くの人々が同じイメージを共有することで、死後辿り着くべきカトルスが成立するというのだ。

居合わせたオーセルは、死を肯定的に受け入れよという教義に対して不快感を顕にする。

そこに幻獣の急襲が訪れる。幸いソロモンらが既に対処に向かっており、グレモリーはビフロンスと共に、領主として村を訪れた。教会に信者以外が入ることを異様に嫌がる宣教師に、グレモリーは不審感を抱く。もとよりメギドラルの概念であるはずの「カトルス」を掲げる教団である。オーセルとビフロンスは警戒のため教会に留まることになった。

密かに宣教師長を見張るオーセルの目の前で、意外な事態が発生する。宣教師長が自殺したのだ。「自分は十分にすべきことをした。真の幸福を得る資格がある。死の先の絶対安住の地に行くのだ」そう言って死んだ男にオーセルは衝撃を受ける。

一方、ソロモンとゼパル、グラシャラボラス、フェニックス、オロバスは村付近の森で幻獣と交戦していた。

逃げ遅れの捜索に出たグレモリーは、村内でメギドに遭遇する。カトルス教団関係でこそなかったものの、かねてより警戒していた、休戦季間際に功を焦った軍団による小規模侵攻である。両者は戦闘に突入した。

あわやの瞬間、ここにもイヌーンが助けに入る。更にビフロンスの加勢も得て、一行はメギドの撃破に成功した。その時、カトルス教の者たちがぞろぞろと教会を後にするのが目に入る。この村での布教を諦め、撤収を始めたのだ。

ソロモン一行とグレモリーら、オーセル、そしてイヌーンは合流し、教会の捜索を始める。そこにあった祭壇は驚くべきものだった。人の脳が使われているのだ。これに多くのヴィータが思念を集中させると、何らかのヴィジョンを表示することができるらしい。そうしてヴィータらにひとつのイメージを共有させることで、この世界にカトルスを作り出そうとしていたのだろう。

そしてまた、教団によって滅んだ村の村長の手記が、とうとうイヌーンからソロモンに渡る。そこに記されていたフォルネウスの名に、ソロモンは愕然とする。

 

#77

フォルネウスの所業に誰もが困惑していた。そんな中フェニックスとフォカロルは、フォルネウスが今後どんな態度を見せようとーーたとえ残虐な所業に何か理由があり、ヴァイガルド防衛の意志を持ち続けていたとしてもーー殺された人々の手前、処断は免れ得ないと密かに心を決める。ソロモンにすら知らせずフォカロル単独の判断と支持であることにすることで、ソロモンにのしかかる粛清の重荷や予想され得る反発を避けるつもりだった。

イヌーンの鼻を頼り、「黒幕」フォルネウスを探してとある洞窟に来たソロモン、ゼパル、グレモリー、フォラス(脳を使った祭壇に興味を持った)、アンドラス(同前かつ回復役としてメギドラルの陣地より召喚された)、オロバス、グラシャラボラス、フェニックス。召喚を拒むフォルネウスに、ソロモンらの疑念は次第に確信へと移り変わっていた。

道中、オロバスらは祭壇の調査結果を共有する。祭壇に使われていてのはスライスされた誰かの大脳で、元になった者が特殊な力を持っていることから、追体験のための共鳴装置として機能していたと思われる。そしてまた、その脳ありきで教団が作られたとも推測され得る。

洞窟の奥で、一行はとうとうフォルネウスと対面する。彼は「自分の目的はヴィータを救うことだ」と言った。メギドの命は死んでから初めて価値を得る。死後彼の世界に還り、自分の一生分の情報を持ち帰り、全体に渡し、全体から認められることで、初めて命の価値は生まれるのだ、そうして命に価値を得ることこそが真の幸福なのだとフォルネウスは主張する。しかし追放メギドはそこに還ることはできない。

ヴァィガルドにカトルスがあり、世界自体が何らかのイメージを抱くことができていれば、仮にヴィータが絶滅したとしても再び世界によって生み出される。命の生まれまた還る場所を作ることはヴァイガルドという世界が他の世界に圧倒されることを防ぐことになり、ハルマゲドンへの対抗作にさえなるのだとフォルネウスは言う。

今ここにある人命に価値を見出さず、魂をリソースのように扱うフォルネウスに反発する一行。遺物の力でフォルネウスは指輪の干渉を拒否する。両者は戦闘にもつれこんだ。敗北したフォルネウスに、フェニックスは刃を向ける。それを押し留めながら、ソロモンはフォルネウスに語りかけた。そして、彼は命を単なる現象として鳥瞰してきたからこそ、これまで「他者」すなわち対等な存在を意識したことが無かったのではないかと喝破する。そしてソロモンを「親友」と呼んだのは、帰るべき故郷ーーカトルス、あるいはグロル村ーーを失いながらもそれに固執し続けることをやめられない共通点故なのだろうと。

 

アジトからはフルーレティがハブ監視任務に、マルファスがメギドラル側陣地へとそれぞれ出かけてゆく。ハブとは、アジトとメギドラル側陣地との中継地点だ。メギドラル側で見つけたゲートを使い、その出口をグレモリーの所領内の森に繋げている。ポータルを直接アジトに繋げることは技術的にできなかったため、既存のゲートを利用したハブが必要なのだ。無論、アジト防衛の意味合いもある。ハブ監視当番のブエルと顔を合わせ、カトルス教団とフォルネウスについて伝えた。そして更にメギドラルへ渡ったマルファスは、メギドラル陣地のメンバーにも同様の情報共有を行った。

ペルペトゥムへの情報共有はリリムが行った。また、オーセルが仲間を連れてペルペトゥム移住することにしたらしい。

 

ポータルの前にいたフォカロルと警備当番のウヴァルの前でポータルが開き、その向こうからオリアスが現れた。「世界のあらゆる場所で、怪物が人々を襲う。防ぎようがない」そう彼女は予言した。

 

フォルネウスを連れアジトに戻ることにしたソロモン一行は、ハブに設置したポータルへと向かう。しかしそこにはポータルキーは無く、それどころか人っ子一人見えなくなっていた。代わりに現れたのは、ヴァイガルドに出現するはずのない成り損ないである。

 

#78

成り損ないから逃げ、アジトに駆け込んだブエル。オリアスの予言が証明され、俄然臨戦態勢となる。

フルーレティはハブ駐留のヴィータを助けるため現地に残り、彼らと共に逃走している。オリアスは王都への連絡に走り、ビフロンス・ウヴァル・フォカロルはポータルキーを用いて各地の偵察と迎撃。ブエルはポータルキーを用いた各地への連絡と携帯フォトン配布。アンドロマリウスはアジトで情報の中継役となった。

各地に滞在していた仲間たち、各国の騎士団、そしてアンチャーターのプルクラさえも、それぞれが遭遇戦を行いヴィータを助けていた。また、プロメテウスは歌で成り損ないを追い払えることを発見していた。

 

ハブから近くの街へ駆け付けたソロモン一行は、成り損ないの溢れかえる光景に愕然とする。何故成り損ないがヴァイガルドに? その疑問に、フォルネウスが答えを示唆する。母なる白き妖蛆は、明らかにヴァイガルドの存在を知っていた。ならば、メギドの邪魔も入らないヴァイガルドに仔を生まない理由はない。実はこれまでも、ヴァイガルドに生み落とされた幻獣はいたのではないか。そして今街なかにそれらがいるのは、ヴィータの肉体を奪って出てきたからである。

何故母なる白き妖蛆は今になってヴァイガルドへの仔の送り込みを始めたのか。その方法が今になって発見されたからであろうと一行は推測する。その方法とは、追放メギドの体を乗っ取ることである。メギドが幻獣の体を奪っていることから、蛆はメギドの存在や居所を知覚することができる。虚空に向かって仔を生んだところでそれは発生には至らないが、ヴァイガルドに居る(未召喚の)追放メギドをマーカーにすれば、あやまたず肉体に仔の魂を送り込めるのである。

成り損ないの発生への対策として、フォルネウスは自らの体をフォトンバースト様の状態、すなわち極めて希薄なフォトンに分解することを提案する。当然凄まじい苦痛が伴うが、それが自分の贖罪だという。

微細に分解されたフォルネウスは、大気中のフォトンを途切れることなく摂取し、障壁の力を途切れることなく発揮し続けることができる。そこにフォラスの全体化の能力を添加して、世界中に障壁を張ろうというのだ。

フォルネウスのメギドの力の障壁を広げることで、蛆の世界から来る「仔」をはじいたり、今いる「成り損ない」の力を削いだり、蛆に不審感を抱かせ侵略活動を停止させたりすることが期待できる。そしてまた、ヴァイガルドのカトルスに、世界を防衛するということの有様を見せることができるかもしれないとフォルネウスは言った。

 

ソロモンたちが去った後のグレモリー領の村では、成り損ないに襲われる極限状態で、村人たちがこぞってカトルス教祭壇に祈っていた。そこで見たイメージは「わたし」の主観を通して、美しい世界を映し出していた。それにより、人々はあることを悟る。カトルス教の教義の本質は現世の否定ではなく、また死そのものには何の意味もない。むしろ現世が素晴らしいということを「持ち帰る場所」を作り、生への希求を共有し、その場所に行ったとしても再び魂が現世に帰ってくるようにしようとしているのだ。

しかしその時、とうとう成り損ないが彼らの元に迫る。だが絶望する人々の目の前で、意外なことが起こった。成り損ないが光に包まれ動きを止めたのだ。ソロモンとフォルネウスの作戦の成功である。

 

メギドラル側に待機していたパイモン・バラム・マルファス・バティンはハブを訪れ、無人でポータルキーが失われていることからヴァイガルドに異常が起きたことを確認していた。持参した緊急用ポータルキーを起動しようとしたところで、身を隠していたフルーレティと警備のヴィータたちが姿を現す。

 

とある街では偶然訪れていたハックと住民にして弟子のヴイータ女性、パトロール中合流したビフロンス、そして街の人々が成り損ないを迎撃していた。同じくパトロールにでていたウヴァルとフォカロルも、また別の街で成り損ないに対処している。ペルペトゥムではベルフェゴールとコルソン、そしてガープ、ベリアルが戦闘を繰り広げ、またマルチネと偶然立ち寄ったニスロクも牧場で成り損ないに応戦していた。ウァプラとアンチャーターのプルクラはアクィエルと遭遇し、とある街(王都?)で共に戦線を張っていた。

世界の安全は取り戻されたがフォルネウスは限界を迎え、「ボクは自分の意志でキミたちの軍団を去る」と言い残して肉体を崩壊させた。彼の心中に最期にあったのは、いずれ生み出さんとするヴァイガルドのカトルスに、最後の希望としてのソロモンの魂を送り出したかったという思いだった。

フォルネウスの伝言をフェニックスがソロモンに伝える。ヴァイガルドにはハルマゲドンではないもう一つの危機、エクソダスが迫っており、ヴァイガルドのカトルスを作ることは対抗手段になり得るのだという。聞き知らぬ言葉に戸惑うソロモンに、イヌーンがその計画の内容を説明する。それはマモンが独自に進める計画であり、阻止するために残された時間は多くはないのであった。

王宮ではオリアスの情報を受けたシバの女王らが、今回の騒動と追放刑の関係についてソロモンに探ってほしい意向を示した。

 

アジトへの帰投後、ソロモンはショックを受けながらも「フォルネウスがまだ近くにいる気がする」と語る。またインプは人知れず祭壇に興味を示し、それが誰かの人生の記憶の情景であることを直感的に理解していた。そして涙を流しながら、皆が当たり前にできることができない人もいるのにと、世界への遣る瀬ない怒りを燃やすのだった。

 

祭壇に埋め込まれた脳は、とある女のものであった。彼女は生まれながらに映像をテレパスする能力を持ち、それ故に人々から恐れられ迫害されて生きていた。

かつてフォルネウスは彼女に出会い、精神にテレパシーの干渉を受けた刺激からメギドの記憶や彼の世界のことを思い出した。「本来の自分」を取り戻すことは無上の喜びであったが、「彼の世界」に帰れないと理解する絶望もまた共にあった。

後日フォルネウスは女を保護したが、既に衰弱しきっていた女はそれから数年と生きられはしなかった。追放により還る場所及び(そこに魂の情報を持ち帰るという)生きる意味を失ったフォルネウスと、人生に意味をずっと見い出せずにいた女はささやかに共感する。そして、己の生まれた世界にありながら初めから還る場所を持たない女、ひいてはヴィータたちを哀れんだフォルネウスは、ヴァイガルドにカトルスを作り出すことを思いつく。

どこかで、女は穏やかに暮らしていた。二人の子供ーーカトルス教団が布教に失敗し、その後成り損ないに襲われたあの村の子供たちーーが現れる。三人はどこかの「みんなに会える場所」「大きな何か」を探して、女の暮らす部屋から外の世界へと出て行った。

 

#79

フォカロル、フォラス、ゼパル、グラシャラボラスらをアジトに残し、ソロモン、フェニックス、アンドラスらはイヌーンと共にメギドラル側の陣地へ戻る。グリマルキンは密かにフォルネウスの気配を察知し眉根を寄せていた。

フォルネウスは現世に留まっていたのだ。ヴァイガルドの集合意識体によりフォトンを供給され、肉体の崩壊後も魂だけで存在を保っていた。フォルネウスの滅ぼした村の「村長クン」の姿を取った者(フォトン供給のための道標)は、フォルネウスにはまだ贖罪としての役割が残っていると言う。

また、ヴァイガルドの集合意識体は既にフォルネウスの干渉よりもはるか昔、古代大戦という世界の危機を契機として生まれていたのだという。その上位存在と交信するための装置がソロモンの指輪、シバの指輪である。

 

メギドラル陣地に戻ったソロモンは、マモンに対抗しエクソダスを阻止するため陣地を放棄して進軍するという方針をブネと確認する。また、サレオス・イポス・ロノウェがそれぞれ数人のチームを作って、進軍ルート確保のための偵察隊として先行していた。

イポスは索敵と掃討を行っている。サレオスはパイモンと共に「涙の大河」を確認したいと言っていたらしい。ロノウェはエリゴスが遭遇した幻獣に対応するため出ていた。ソロモンは、援軍も兼ねてひとまずロノウェ隊との合流を目指すことにした。

アジト残留組:グラシャラボラス、グリマルキン、ゼパル、フォカロル、フォラス他

ヴァイガルド残留(非アジト、自宅等)組:不明(ウァプラ、ブエル、ジズ等?)

ペルペトゥム組:?

メギドラル遠征本隊:ソロモン、アンドラス、イヌーン、カスピエル、ザガン、サタナキア、セーレ、ナベリウス、バエル、バラム、ハルファス、フェニックス、ブニ、ブネ、フリアエ、ベリト、マルコシアス、ムルムル、メフィスト、他?

メギドラル遠征偵察隊①(索敵・掃討による進軍ルート確保):イポス、サブナック、バルバトス、ボティス他

メギドラル遠征偵察隊②(涙の大河偵察):サレオス、パイモン、シトリー、ヒュトギン

メギドラル遠征偵察隊③(遭遇幻獣掃討):ロノウェ、アムドゥスキアス、アロケル、エリゴス、シャックス、マルファス、モラクス、ラウム、レラジェ

メギドラル遠征後発隊:アスモデウス

その他:インキュバス(牙の内海戦争のドサクサで本隊から離れ、アスモデウス隊合流を目指す)、リヴァイアサン+ウェパル+サルガタナス(牙の内海)、ベルフェゴール(メギドラル遠征を先行中)

 

偵察隊③のエリゴスは、内心強い闘志を燃やし独走していた。自身の追放のきっかけになったメギドに似た幻獣を見かけたのだ。エリゴスはそのメギドのやっかみから陥れられ追放された。ヴィータの体でメギド時代の高潔さを失った今も、そのメギドの存在はエリゴスの心で大きな引っ掛かりとなっていた。

ソロモン率いる本隊が偵察隊③に合流し、新たな目的であるマモン接触エクソダス阻止について共有する。エリゴスは未だ独走中である。

エクソダス計画、別名第三計画とは、メギドたちがメギドラルを捨て、ヴィータの肉体を奪ってヴァイガルドに逃れる計画である。そうしていつか、ヴァイガルドのすべてのヴィータに成り代わろうというのだ。

マモンがソロモンを呼び出したのは、エクソダス後に護界憲章からメギドらを守るため、指輪の力ーーあるいは単に、指輪それだけーーを求めたからであろうと推測される。しかし利害に敏いマモンであれば、エクソダス計画がメギドラル社会の利にならないことをソロモンが証明しさえすれば、潔く計画を捨てるだろうとのことだった。

また、エクソダスは「魂の炉」という魂の保管装置の機能を前提としているが、この存在は秘匿され、マモンや一部のメギドだけが保持している。

また、「魂の炉」の技術は追放刑にも流用されている。

更に蛆の息のかかった勢力は追放刑を利用し、重要なことを知ってしまったメギドを異世界ヴァイガルドに追いやってきた。追放されたメギドはカトルスに重要な情報を持ち帰れず、蛆のメギドラル支配は明るみに出にくくなるというわけだ。

カトルスへの情報の遮断を目的とした追放活動の実働部隊が、八魔星のベルゼフフによって設立され、同じく八魔星のエウリノーム・バールベリトを擁するフライナイツである。

しかしサタンやマモンも、追放刑を真逆の目的に利用していた。蛆に与しないメギドの魂に「印」をつけた上で、蛆の手の及ばないヴァイガルドに送り出していたのだ。いつかソロモン王が出現しヴァイガルドにいるメギドが力を取り戻した時、彼らは蛆の勢力に対抗するための軍団になり得る。サタン派がソロモン王を生み出そうと研究を続けているのもこのためである。

ソロモンたちがマモンやサタンを倒してしまえば、メギドラルのパワーバランスが一気に蛆・ベルゼブフ側に傾く。そうすれば蛆の勢力は魂の炉を掌握して大量の魂をヴァイガルドに送り込み、更にそれをマーカーとして蛆が仔を送り込むことになるだろう。

ソロモンたちが真にすべきことはマモンの打倒ではなく、エクソダスを思い留まらせつつ「魂の炉」を破壊等して蛆側の手に渡らないようにすることである。

先だっての成り損ないの出現がエクソダス計画の一環であったとすると、しかしそこには二つの違和感があった。一つは、イヌーンを使者として遣わしておきながら、その結果を待たず、また成否も確実でないにも関わらず拙速に計画を進めていることである。二つ目は、成り損ないをヴァイガルドに送り込むことがマモンの利益になるとは思えないことである。これらから、成り損ないの悲劇はマモンの計画とは無関係であると考えた方がもっともらしく見える。

とはいえ先だっての事件が(1)エクソダスの失敗によるものであったにせよ、(2)エクソダスに蛆が便乗したにせよ、(3)エクソダスは起こっておらず先の事件は蛆単独によるものであるにせよ、マモンを問い質すのが最適である。蛆への対抗という目的を共有できれば、ともすればマモンとの共闘までも期待できる。

マモンがソロモンを呼び出したのは、エクソダス後に護界憲章からメギドらを守るため、指輪の力ーーあるいは単に、指輪それだけーーを求めたからであろうと推測される。しかし利害に敏いマモンであれば、エクソダス計画がメギドラル社会の利にならないことをソロモンが証明しさえすれば、潔く計画を捨てるだろうとのことだった

 

独走していたエリゴスや別行動のラウム・モラクスとも合流した本隊及び偵察隊③は、イヌーンの提案により近傍のマモン軍連絡ポイントに向かうことにした。マモン配下のメギドと接触するためである。イポスら偵察隊①にはマルファスが伝令として向かい、現地での合流を目指す。

 

#80

アムドゥスキアス、アロケル、アンドラス、イヌーン、ザガン、シャックス、シャミハザ&ジルベール、ハルファス、フェニックス、プルソン、マルファス(イポスへの連絡から戻るや否や偵察隊に参加した)、モラクス、ラウム、レラジェ、ロノウェは偵察のため一足先に連絡ポイントに到着した。フォルネウスのことを気に病むソロモンを支えようと意識を合わせるためロノウェが声をかけた、ソロモンと歳の近い面々である。と、誰かに見られてるような違和感を一部のメギドが感じる。

霧が一行を包んだ。メギドたちはそれぞれに幻影を見る。アムドゥスキアスは誰かに「闘争心の足りないお前は失敗だ、やはりメギドは蛆の仔を通してしか生まれないのか」と言われ、プルソンは無言で立つエウリノームを見て動揺する。

そして、かつての因縁が白日のもとに晒されるメギドたちもいた。

ロノウェは、追放前に喰おうとしていた上位メギドの姿を見る。同じ幻影を見たレラジェは、ロノウェこそが議会の依頼により追っていたメギド喰らいの正体だったと知る。レラジェが放った殺気により、ロノウェは自分を追い詰め懲罰局に捕らえさせたのがレラジェであったと知る。

また、ロノウェが喰らい損ねたメギドにとどめを刺しバラバラにしたのはアンドラスであったことが、本人の口から明かされる。依頼に失敗したかどで追放されたレラジェにとって、仇はアンドラスであった。

更に、メギド喰らいの事件の起きたのがラウムのテリトリーであったが故に、共犯を疑われた彼も追放されることとなった。

一触即発の「17歳組」をイヌーンが一喝する。ソロモンのために心を合わせることを思い出した彼らは、すんでのところで拳を収めた。また、追放の発端となった事件すら半ばアドラメレクらに仕組まれ誘導されたものであった。

ロノウェは嘔吐しつつ謝罪をする。メギド72にいる限りは争わないと皆が同意した。

同じ頃、シャミハザとジルベールは幻覚に誘われて以前のユフィールとの会話を思い出していた。それぞれの独立性を保ったまま体を共有しているシャミハザとジルベールは、偶然の産物とはいえメギドラルにとっては成功例であるという。ヴィータの魂と混ざり合うことなく、メギドがメギドとしての純粋さを保ったままヴァイガルドに受肉しているのだ。

ここまでを理解した上で、成り損ないが服を着ていた、すなわち胎児ではないヴィータからも発生していたという事実の恐ろしさに気付く。成り損ないに奪われたとはいえ、一度はその体にメギドの魂が宿ったのだ。それはつまり、シャミハザと同じ「適合も時間差も問わない転生」の成功を意味している。エクソダスは成功したのだ。

 

一方、ソロモンはリヴァイアサンとウェパル、サルガタナスを牙の内海から召喚した。大罪同盟の個々が一つずつ分け持つという秘密について尋ねたが、あまり実のある情報は得られなかった。アスモデウスはペルペトゥムの関係を預かり、推測だがベルフェゴールはエルダーの関係であろうとのことである。

 

連絡ポイントである霧に包まれた廃墟の方に歩みを進める一行。しかし、先行のロノウェら偵察隊は蜃気楼のように見え隠れし、不思議と出会うことができない。召喚についてもソロモンが違和感を訴え、一旦控えることにした。合流しに来るイポスら偵察隊①への連絡役としてリヴァイアサンとベリト、コランを残し、一行は廃墟の中へと足を踏み入れる。

霧の中でソロモンはフォルネウスの姿を見る。しかしサタナキアの忠告により、それが幻覚であると信じ込んでしまった。指輪の力でフォトンを含んだ霧を打ち払い、幻覚を退けてロノウェ隊及び遅れて到着したイポス隊と合流を果たす。ジルベールから話を聞くことで、彼らの事例こそマモンがエクソダスの強行を決めたきっかけであると結論づけた。マモンは恐らくシャミハザ追放の実行者であるガギゾンが所属するフライナイツ、正確にはフライナイツの実質支配を受ける懲罰局を通して、シャミハザ転生の例を知ったのだろう。そして実験と自己勢力のヴァイガルドへの密かな布陣を目的として、小規模なエクソダスを実行したと思われる。結果としてそれは、蛆によって失敗してしまったが。シャミハザという、ソロモンの指輪の保護下になくとも蛆の仔に体を乗っ取られることなく生活できていた、かつメギドの魂の独立を保てていた成功例は、メギドラルにとって魅力的である。ソロモンというヴィータの手を借りずともエクソダスを成功させられる可能性を示唆しているからだ。

 

ようやくマモン配下の使者が現れる。しかし奇しくも、それはエリゴスの因縁の相手であるインガセクトだった。ソロモンとインガセクトは会話に入るが、交渉とは名ばかりの、挑発と反発ばかりのやり取りに終止した。マモンへの全面降伏、シャミハザの引き渡し、指輪の譲渡、いずれも受け入れられる条件ではない。また、ソロモンの要請したエクソダスの中止も当然拒否される。両者の関係は決裂し、マモンとソロモンは互いに戦争状態に突入することを確認する。イヌーンはマモンを諌めんがため、引き続きソロモンと行動を共にすると述べた。

その様子を見ていたフォルネウスは、消えゆく意識の中で無力を嘆いていた。

 

#81

アジト残留組:グラシャラボラス、グリマルキン、ゼパル、フォカロル、フォラス他

ヴァイガルド残留(非アジト、自宅等)組:不明(ウァプラ、ブエル、ジズ等?)

ペルペトゥム組:?

メギドラル遠征本隊:ソロモン、アムドゥスキアス、アロケル、アンドラス、イヌーン、イポス、ウェパル、エリゴス、カスピエル、ザガン、サタナキア、サブナック、サルガタナス、シャックス、セーレ、ナベリウス、バエル、バラム、バルバトス、ハルファス、フェニックス、ブニ、ブネ、フリアエ、プルソン、ベリト、ボティス、マルコシアス、マルファス、ムルムル、メフィスト、モラクス、ラウムリヴァイアサン、レラビェ、ロノウェ他

メギドラル遠征後発隊:アスモデウス

その他:インキュバス(牙の内海戦争のドサクサで本隊から離れ、アスモデウス隊合流を目指す)、ベルフェゴール(メギドラル遠征を先行中)、サレオス・パイモン・(やや離れて)シトリー、ヒュトギン(嘆きの大河偵察)

 

パイモンも「冥河主」サレオスとはかつての宿敵であった。その頃サレオスが守っていた嘆きの大河を眺め、二人は当時を懐かしんでいた。

サレオスはマモンの副官であったが、約25年前、主の不興を買ったことから挽回のためにヴァイガルド転生を申し出た。エクソダスに役立てるため、サタン経由で噂を聞いていたソロモン王(ダムロック)の発見がその目的である。マモン派の転生メギドが先遣隊としてヴァイガルドに赴き、予めソロモン王に接触することで、エクソダスのための足掛かりを作ろうとしていたのだ。

シトリーはかつての友であるマモンとの対峙に思いを馳せていた。彼女もまた、サレオスと似た経緯でヴァイガルドに転生していた。

やがてソロモンら本隊が嘆きの大河偵察隊に合流し、河越えの方法を議論する。サレオスはイヌーンと旧交を温めた。イヌーンはサレオスの幼護士であった。

サレオスもシトリーも、転生を経てヴィータやヴァイガルドを軽視する思考を転換したと言う。そしてメギドとヴィータが共に納得できる落とし所を見つける必要があるのだと、ソロモンと共に意思を固めた。

サレオスの案内を頼りに涙の大河を渡ろうとする遠征隊。応援としてアミーをヴァイガルドから召喚し、筏づくりに精を出す。そして川底の骨や死体に紛れ、無事河越えに成功した。

 

マモンは「第一次エクソダス」すなわち成り損ない発生事件の顛末を知らなかった。彼女は「確実に転生の成功する方法」を持っていたために、エクソダスの成功を疑う理由がなかったのだ。その「方法」こそが、マモンが保持する大罪同盟の秘密である。ベリアルをはじめとする不死者や長命者はその「方法」を用いて転生した者たちであり、それが故に長命やメギドの力の部分的な行使が可能なのだった。彼らはマモンが蛆への対抗のために密かにヴァイガルドに避難させていたのだった。

シャミハザの存在は確かにマモンにエクソダスを急がせる原因になったが、決して彼女にとって都合のいいものではなかった。確実な転生の手段を持つ彼女にとってシャミハザの存在は利益にはならず、むしろ議会=蛆に確実な転生の可能性を知らしめることになってしまうのだ。

確実な転生が知られれば、一つにはそれがハルマゲドンの手段になり得る。ヴァイガルドに潜入したメギドたちが蜂起すれば、メギドとハルマの正面対決は目の前だ。ハルマゲドンに勝算を見出だせずにいるーーむしろそれを蛆の戦略と考えるーーマモンにとって都合の悪いことである。二つ目には、フライナイツにとって追放刑が不都合なものになってしまう。フライナイツは「彼の世界」に蛆の情報を渡さないため、情報を持つメギドを彼の世界から切り離された異世界に追放していた。しかし追放の殆どは失敗し魂は消失するという前提が崩れれば、追放刑は隠蔽として成立しなくなる。そうなれば追放刑はすたれ、それに紛れて進めているマモンのエクソダスも術を失ってしまうのだ。

 

ソロモンらが幻覚を見たのは、フライナイツのしわざだった。マモンとの協力を妨害するため、幻惑能力のある幻獣を予め放っていたのだ。妨害の目的は時間稼ぎだ。マモンがソロモンとの戦争にかかずらっている間に「魂の炉」を見つけ出し、押さえ、エクソダス計画を乗っ取ろうというのである。そう、フライナイツはエクソダス計画の存在と内容も、それを補強するシャミハザの事例も知っているのだ。

シャミハザの事例とて、予想外の情報で動揺を誘うために敢えてフライナイツからマモンにリークしたものであった。結果としてマモンは第一次エクソダスを強行し、その大規模な魂の動きから、フライナイツは魂の炉の場所の特定に成功した。更には、母なる白き妖蛆が仔を送り身体を乗っ取ることができることまでも判明させ得た。

 

その頃、インキュバスはインガセクトに拾われ、マモン配下のメギドたちになぜか気に入られ、密かに匿われていた。

 

失われたかに見えたフォルネウスの魂は、消え去る直前に偶然にもメギドラルのソロモン王によって召喚されていた。サタンが生み出したソロモン王である。

これ幸いと、フォルネウスは蛆=フライナイツの謀略によりマモンとメギド72が潰し合いにもつれ込み、エクソダスが奪われかけている事情を話す。サタンもそれを受け入れ、メギド72への助力のために動くこととなった。

 

#82

単独行動中だったベルフェゴールとも召喚により合流し、また戦力増強のためにフルカスを召喚し、いよいよメギド72はマモン城に突入する。しかし、その時既に敵の計略は発動していた。城内にいるのは幻獣ばかりで、メギドの姿が見えないのだ。フォトンで作り出したマモンの映像でソロモンたちを城に誘い込み、幻獣の大軍勢で包囲し攻めると同時に、城自体も爆破し軍団を押しつぶそうという罠である。

と、城内で夢見の者の死体が見つかった。エクソダス失敗の報をマモンに伝えられないよう、口止めのために殺されたと思われる。マモンの周囲に間者がいるのだ。

ラクスの勘により爆破装置が発見され、召喚されたアスタロトによる解除が成功する。また、機転を利かせた空からの脱出により、どうにか損失無く危急を脱することができた。運良く仕込まれていたインキュバスの能力のお陰でタイガンニールからマモンとの合流場所も聞き出すことができる。

 

#83

アジト残留組:グラシャラボラス、グリマルキン、ゼパル、フォカロル、フォラス他

ヴァイガルド残留(非アジト、自宅等)組:不明(ウァプラ、ブエル、ジズ等?)

ペルペトゥム組:?

メギドラル遠征本隊:ソロモン、アスタロト、アミー、アムドゥスキアス、アロケル、アンドラス、イヌーン、イポス、ウェパル、エリゴス、カスピエル、ザガン、サタナキア、サブナック、サルガタナス、サレオス、シトリー、シャックス、セーレ、ナベリウス、パイモン、バエル、バラム、バルバトス、ハルファス、ヒュトギン、フェニックス、ブニ、ブネ、フリアエ、フルカス、プルソン、ベリト、ベルフェゴール、ボティス、マルコシアス、マルファス、ムルムル、メフィスト、モラクス、ラウムリヴァイアサン、レラジェ、ロノウェ

メギドラル遠征後発隊:アスモデウス

その他:インキュバス(牙の内海戦争のドサクサで本隊から離れ、マモン配下メギドに拾われる)

 

マモンとの対峙のための行軍途上、メギド72はサタンとメギドラルのソロモン王、そして蘇ったフォルネウスに遭遇する。マモンとの対立がフライナイツの謀略であることを聞かされ、戦争は避けられないまでも、殺すべきでないことを確認した。フォルネウスはそのままサタンらと行動を共にすることになる。

進軍する一行の前に立ち塞がったのはインガセクトだった。戦闘に勝利し、ようやくエリゴスは懊悩を断ち切り、ソロモンの目指す目的に全てを賭けることを宣言する。

敗北に打ちひしがれ、己の存在意義を見失うインガセクト。彼女の前に現れ、傍らに寄り添ったのはインキュバスだった。その励ましにより、インガセクトは今一度マモンの役に立つために足を踏み出した。

 

これまでの出来事から、ホーコックが裏切り者であると結論付け拘束を命じるマモン。そこにソロモン一行が現れ、両者はついに対峙する。

エクソダスのリスク、エクソダスによらずゲートを通って移住するメギドを受け入れる意思、フライナイツの暗躍、それら全てを確認した上でなお、マモンからソロモンへの疑心や敵愾心を晴らすには至らなかった。むしろ、フライナイツの動きをソロモンが把握していることがマモンの疑念を深めたのだ。両者は戦闘へともつれ込む。

ソロモンらがマモンを下したのち、彼女の疑念を晴らしたのは隠れて見ていたフォルネウスだった。ソロモンという点とフライナイツという点、本来結びつかないはずーーだからこそマモンは両者の結託を疑ったーーの二者を繋ぐ名、すなわち追放メギドのカソグサを存在を告げたのだ。密かにエクソダス計画を察知し調査を行っていたカソグサはフライナイツに捕らえられ、エクソダスの情報を奪われた。かつまたその後の追放の結果、フォルネウスを通じてソロモンに情報をもたらした。

全てを理解したマモンは第一次エクソダスの失敗により失われた魂たちのために嘆き、計画の休止を受け入れた。

魂の炉、本来の呼称にして「カトルスの受け皿」は、もともと蛆対策として作られた装置であった。カトルスから送り出された魂を直接受け取り、保管し、かつまた適合するヴィータの魂を検索し、発見次第ほぼゼロ時間差で送り込む機能を予定されていた。ヴィータの身体を奪ってメギドが発生することで、蛆を滅ぼせばメギドも滅びるという矛盾を克服できると期待されていた。ただしカトルスからの魂を受け取る部分において装置は機能しなかった。

魂の炉のある遺跡に近づくメギド72、マモン軍団、サタン一行。彼らの前に姿を見せたのは、膨大な光を放つ魂の炉であった。しかし、それはヴァイガルドに向けて魂を送り出しているわけではない。内部に溜め込んだ魂を、ひたすらその場で外に出していたのだ。

虚空に投げ出され消えゆかんとする魂は、メギドラルのソロモン王が一つ残らず指輪へと集め救い出した。サタンの説得もあり、マモンは魂の炉の破壊を受け入れる。

命と引き換えに魂の炉を破壊しようとするマモンの前に、インガセクトインキュバスが現れる。そしてインガセクトは、魂の炉の破壊の役割を自ら願い出た。命を賭しても構わないと思えるほどの目的哦自分には欠けていて、それを満たすためにマモンの役に立ちたい。そう願い出るインガセクトにマモンは頷き、魂の炉の内部へと彼女を送り出した。そして、魂の炉は破壊される。

戻ってきたマモンは、ソロモンとの今後に渡る共闘と召喚を自ら提案した。

また、ソロモンがメギドラルのソロモン王の指輪の力を掻い潜りフォルネウスの召喚に成功した場合に限り、彼をメギド72に戻すことにサタンは同意する。いつか必ずフォルネウスを取り戻すとソロモンは約束し、しばしの別れを交わした。

フォルネウスから、ソロモンに渡された伝言があった。「村の土の下には、たくさんの村の人たちが眠っている。いつかお前もここに帰ってくる。変化したとしても、別の存在になるわけじゃない。だから自分が碑だとか、グロル村の少年は死んだだとか、帰る場所を失っただなんて絶望するな」かつてのグロル村での親友、ツルムガからの言葉だった。

いつか、この大きな戦争ーーはるか昔、ヴィータとメギドが出会った時に始まり、世界を変えんとする戦争ーーが終わったとき、自分は王として、ある部分では変わりしかし同じ存在として、故郷の村に帰るのだろうとソロモンは予感した。

その頃、アモンは密偵としてレジェ・クシオに潜り込み、懲罰局本部の場所を探っていた。と、偶然にもフライナイツのメギド、そしてそれから逃れようとするガギゾン及び意思喪失状態のルシファーに遭遇する。ガギゾンはアモンに「俺たちを助けろ、懲罰局の場所を教えてやる」と告げた。

また別の場所では、フライナイツのエウリノームとバールベリトが成り損ないに語りかけていた。「こちらにいらっしゃることが可能だとは」と驚きを表明する彼らの前にいるのは、今はまだ成り損ないの姿をした、母なる白き妖蛆である。蛆がこの世界で実体を得たのだ。